2017年03月21日

骨伝導

音が聞こえるということは、普通には、音源の振動を空気が伝えるからであり、
真空中では、音は伝わらない。

しかし、空気がなくても、音を伝える物体があれば、伝わる。
たとえば、水。
水は音を伝えます。
シンクロナイズドスイミングの選手は、水中で音楽を聴いて、
それに合わせて演技をしている。

電車のレールなど、固体も音を伝える。
(註 そういう遊をすると、法により罰せられます)

晩年のベートーベンは、指揮棒を口にくわえて、その先端をピアノに押し付けて
歯に伝わる振動で音を感知したという。

健聴者の場合、空気→鼓膜のルートだけでなく、振動があごや頭の骨に伝わり
内耳に聞こえてくる音がある。

これを骨伝導という。

空気を伝わってくる音は、普通、あごや頭の骨を震わすほど激しくないので、
ふだんは鼓膜からの音だけを聴いている。

ところが、自分の出す声は、あごや頭の骨を震わすので、
鼓膜からの音と、骨伝導の音、両方を聞いている。

テープレコーダに録音した自分の声を、後から聞いてみると、
なんだか自分の声と違う音にきこえるのは、骨伝導がカットされているからである。

私のように、内耳がまったく機能していない場合、骨伝導の音はきこえない。
聞こえるのは、補聴器で拡大された音だけである。

だから、原理的には、自分の声は、テープレコーダを通した音と同じなのだが、
でも、補聴器で拡大された自分の声には、それほど違和感を感じていない。

「慣れ」というものだろうか。


骨伝導
この図は、滝川洋二著「中学理科の教科書」(講談社BLUE BACKS より、引用しました)

[註)この話題は数年前に、長野難聴のブログでも扱いました。

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2017.3.21 (TUE)

この記事へのコメント

【内耳がまったく機能していない場合、骨伝導の音はきこえない。
聞こえるのは、補聴器で拡大された音だけである。】

認識不足、知りませんでした。

僕の右耳は115dBスケールアウトです。
補聴器を使わず届いている音は全て左耳からの音だったのですね。

そう言われれば、一昨年何度も準音検査をした際に
6月の検査では骨導検査をしましたが
(この段階でスケールアウトでした)
それ以降の検査では、右側の骨導検査を端折っていたのはこの事だったのですね。

自らの身体の事なのに知らなかったとは大反省です。
Posted by ニシダ at 2017年03月21日 07:04

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ROKU
いや、素人考えなんですけどね。
いま、「あー」と発生してみて、自分の声が聞こえない。
ということは、
① 鼓膜ルート
② 骨導ルート
が、ともに、内耳のところで、シャットアウトされている。
脳への接続ができていない、
ということだろうと。
私の場合、骨導検査は、(カルテのある病院では)ずいぶん以前から端折られております。
posted by ROKU at 2017/3/21 9:47

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Posted by 六万石 at 06:35 │トリビア万華鏡
この記事へのコメント
【内耳がまったく機能していない場合、骨伝導の音はきこえない。
聞こえるのは、補聴器で拡大された音だけである。】

認識不足、知りませんでした。

僕の右耳は115dBスケールアウトです。
補聴器を使わず届いている音は全て左耳からの音だったのですね。

そう言われれば、一昨年何度も準音検査をした際に
6月の検査では骨導検査をしましたが
(この段階でスケールアウトでした)
それ以降の検査では、右側の骨導検査を端折っていたのはこの事だったのですね。

自らの身体の事なのに知らなかったとは大反省です。
Posted by ニシダ at 2017年03月21日 07:04