2010年11月24日

筆談の定義

≪筆談の定義 2010.11.24≫

まず、広辞苑を開いてみよう。
①随筆・筆記の類
②用件を互いに文字に記して伝え合うこと

へー? ①の意味があるの? 全然知らなかった。

我々が普通「筆談」というときは、勿論上記②の意味でしょう。

手話辞典を見てみよう。
<書く><交換>とある。
左掌に右2指で書くしぐさ、次に両掌を上向きにして「互いに」前後入れ替える。
やはり、広辞苑と同じ定義でした。

ここで、「筆談」のさまざまな状況を想定してみよう。

1.AもBも共に聴者の場合
   この場合は、秘密のやりとりとか特別な場合でしょう。
   昔は授業中に生徒らがよくやりました。 
   とにかく、 「互いに文字に記して」伝えます。

2.Aが手話ができない健聴者で、Bが「ろう者」の場合。
   この場合も、 「互いに」文字に記して伝え合うことになるでしょう。
   それ以外にコミュニケーション手段はありえない。

3.AもBも「ろう者の場合
   この場合は、筆談はめったにやらないでしょう。
   両者ともに手話でコミュニケーションができてしまうだから。

4.さて、Aが聴者でBが難聴者の場合はどうなのか。
   この場合は、難聴者は、口でしゃべるわけで、書くのは健聴者だけ。
   「互いに」書くわけではない

広辞苑の「筆談」の定義には、この4の場合を想定していないようです。

ここに、「耳の不自由な人」=「ろう者」と想定してているからであり、
要するに難聴者の存在などは、はなっから無視されているということ。

広辞苑といえばその第4版で「要約筆記」という言葉を見出し語に加えた。
ずいぶんご理解のある辞典であると尊敬していたのですが・・・
少しがっかりですね。
                                    2010.11.24
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追記 2017.8.9

当時、要約筆記奉仕員養成講座で、「筆談体験」というのがあった。
当時から疑問に思っていたのは、
講座における「筆談体験」の(授業の)「ネライ」は一体なんなのか、
とても不思議であった。

難聴者の日常では、「互いに」文字に記して伝え合う、という形で「筆談する」という場面はほとんどない。
あるとすれば、月に一度の、難聴者協会の定例会で、たまたま隣あった仲間とするぐらい。

難聴者は、普段は、聴者のなかにいる。
聾者と同じような「筆談」をしているわけではない。

そのことを、気付いてほしいと、
実は、そう思っていたのだ。
                            2017.8.9
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Posted by 六万石 at 10:38 │筆談