2014年09月17日

「口話」と「読話」

難聴者が「読話」ができるという誤解も多い。

過日、スーパーのレジで、
「耳が不自由です」のカードを見せたら
やおら、
わけ知り顔で
「口を大きく開けてゆっくりと」
しゃべりだした。

そういう対応の仕方を、
どこかで教わってきたにちがいない。

なんにも脈絡がない場面で、
いきなり話しかけられるとき、
いくら口を大きくゆっくり話されても、
読み取れない。

「読話」というのは、
家庭内で、
こちらが主導権をもって話すときとか、
あるいは仲間同士で、
話の脈絡がわかっているときとか、
そういう、
状況のわかる場面でしか、読み取れないのが普通です。

聴障者を理解していただく努力はありがたいが、
難聴者=「読話」
と言うようなものが独り歩きされるのは困ります。

≪補注≫ 「口話」と「読話」
【読話(どくわ)】
相手の口の動きや表情から音声言語を読み取り理解すること。
聴覚障害者のコミュニケーション方法の一。

【口話(こうわ)】
聴覚障害者が,相手の音声言語を読話によって理解し,
自らも発話により音声言語を用いて意思伝達を行うこと。
『三省堂 大辞林』より引用です。

「口話」は、聾者の場合に使う用語。
中途失聴者の場合は、発声はもともと出来るわけだから「読話」ですね。

追記 2017.12.26

受付で、耳が不自由であることを告げると、たいがいの場合スタッフは、サッとメモ用紙をとり出して対応してくれる。当然と言えば当然のことだが、ありがたいことだ。また、手話というほどのものではないが、「どうぞ」とか「OK!」とか、身振りで返される時もある。それもありがたい。
大声で返されたり、「口話」のようなもので返されたりするのが一番困る。

「口を大きく開けてゆっくりと」なんてことを、
一体、いつ、どこで、誰におそわったのだろう。

変なことを教えないでほしい。

軽度難聴の場合には、そうやればうまく通じる時がある。
それは認めるが、必ずしもうまくいかない時がある、
いや、むしろ、うまくいかない場合が多い。


私自身、相手に「口話」を要求されると、大変にあせってしまう。

「読み取れ暴力!」
である。

  


Posted by 六万石 at 09:46手話